東洋医学
東洋医学とは古来、中国やその周辺国から生まれた医学の総称ですが、長い歴史の中で、失われたもの、歴史の淘汰で消えてしまったものも多数あると言われています。
現代まで残った中国医学の代表的なものが、漢方や鍼灸による治療です。
当院は特にこの漢方の治療に力を入れています。
漢方内科
漢方内科とは
漢方内科は、文字通り、漢方薬を用いた治療を行います。漢方薬は、中国から伝わった伝統的な医学をベースにしており、多くは自然由来の生薬を元に調合されて、日本の気候や風土、生活習慣、体質などを考慮して特に江戸時代に独自に発展してきたものです。
当院では漢方薬を積極的に活用し、患者様の健康をサポートするよう努めています。
この伝統的な医学は、心と体、環境などを含め、大きな一体としてみる「全人的医療」の視点を持っています。漢方薬は、植物や動物などから抽出した成分を組み合わせて作られ、体質や症状に合わせて処方されます。
生薬を煎じてお茶として服用するものが本来の漢方薬ですが、より現代的に管理され、分包されたエキス剤(顆粒剤)と言われるものが多くなっています。従来の煎じ薬より簡単に保存、携帯、服用できます。
また漢方内科は、西洋医学的には原因が特定できない不調や、軽度の神経症状(ストレス、不安、イライラ)、放置すれば病気につながる軽い不調、いわゆる「未病」の状態でも効果的な治療を行うことができます。気になる症状がある方は、たとえ軽い症状でもお気軽にご相談ください。
漢方薬による治療が適しているとされる方
主な症状
- 最近、風邪を引きやすくなった
- 月経痛、月経前症候群(PMS)がひどくて悩んでいる
- 冷え性、のぼせ症、肩こり、下痢、便秘等、慢性的な症状を何とかしたい
- 不眠症など睡眠障害がみられる
- アレルギー症状(アレルギー性鼻炎)を改善させたい
- 通常(いわゆる西洋医学)の治療だけでは、症状がなかなか改善しない
- 西洋薬による副作用がひどい方
- 不安、イライラ、ストレス
- 喉の違和感
主な疾患
- 胃腸虚弱、胃もたれ、消化不良、便秘、下痢
- 冷え性
- 倦怠感
- 動悸、息切れ
- 慢性的な咳症状
- 肩こり、腰痛、神経痛
- 慢性頭痛
- 不眠
- 更年期障害、月経痛
- 多汗
- 夏バテ
- 口の乾き
- 病後の体力低下
- 皮膚痛痒症
- 不安神経症、易怒性
漢方薬の個別処方と診察方法
一般的な西洋薬は、病気そのものに対して強力な薬理作用を持ちますが、漢方薬は人々の自然治癒力を向上させることを目指しています。そのため、患者様ごとに体質に合わせて生薬を組み合わせたものを処方します。同じ病名でも、体質や季節、患った期間により処方を変えることや、逆に全く違う症状、病名の患者様に対しても同じ漢方を処方することがあります。また病状の変化や治癒の具合により逐次処方が変わることや、特徴的なのは状態が改善すると一度「廃薬」と言って内服を中止することもよくあります。
漢方の診察方法
漢方薬の診察では、患者様の体質(証)を評価します。四診(望診、問診、聞診、切診)という方法を用いて診察を行います。
- 望診(ぼうしん): 患者様の外見を観察します。顔色や舌の状態から体質を判断します。
- 聞診(ぶんしん): 患者様の声や臭いから状態を評価します。
- 問診(もんしん): 患者様の訴えを聞き、症状を把握します。漢方特有の質問も行います。
- 切診(せっしん): 患者様の体に直接触れて診察します。脈診や腹診を行います。
腹部の症状だからお腹の診察や検査をするだけでなく、冷え性はないか、四肢の皮膚の状態、また話し方や脈、目の力など、多くの所見、体質を参考に治療を検討してゆきます。
医療適用の漢方薬と併用
日本では1976年から漢方薬が医療適用となっており、約150種類の漢方薬が利用されています。これらの保険適用の漢方薬を単独、もしくは組み合わせて処方します。
現在はエキス剤が主流であり、昔のように煎じてお茶として服用するなどの手間がかかることは、ほぼありません。漢方薬は西洋薬と併用しても悪影響が少なく、副作用のリスクも低いのですが、やはり全くないわけではなく、体に合わないこともありえます。その際は症状をよくお聞きして、変更したり、中止して別の治療を検討します。
逆に西洋薬の副作用などで治療に困っている方にも代替の選択肢として考慮できます。
また、非常に稀ですが、本当に身体に合う漢方を服用した場合、好転反応といって、一時的に(多くの場合は数日間)発熱や倦怠感、また下痢をしたりなど体調を崩す場合があります。これは専門用語で「瞑眩(めんげん)」と呼ばれます。しかし、これを正確に見極めるのは非常に困難です。あまり辛い症状がある場合には漢方の服用を中止し、医師にご相談、診察をお受けになってください。