糖尿病とは

糖尿病は、血液中の糖(ブドウ糖)が細胞に取り込まれず、慢性的に血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が基準値を超える状態です。この病気は、インスリンというホルモンが十分に働かない(分泌されない、分泌されても少ないか、体が反応しない)ために起こります。インスリンは膵臓から分泌され、血糖を一定の範囲に保つ役割を担っています。
高い血糖値が放置されると、自覚症状はないまま徐々に体中の血管が傷つき、数年から数十年という長い時間をかけて、心臓病、失明、腎不全、足の切断など、より重篤な合併症につながります。また急激に高い血糖値が出現する場合は昏睡などを引き起こすこともあります。

糖尿病は大きく1型と2型に分かれます。1型は膵臓のβ細胞が何らかの原因で破壊され、インスリンがほぼ分泌されていない状態です。2型は主に不摂生な生活習慣(肥満、過食、運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなど)によって膵臓が疲弊し、インスリンの分泌が不足するか、インスリンの効きが悪くなる状態を指します。さらに、遺伝子異常や薬剤の影響、妊娠中の女性による妊娠糖尿病もあります。
1型糖尿病では、膵臓からインスリンがほとんど出なくなる(インスリン分泌低下)ことにより血糖値が高くなります。生きていくために、注射でインスリンを補う治療が必須となります。この状態を、インスリン依存状態といいます。
2型糖尿病患者では初期は症状が出にくいとされています。しかし、病状が進行すると喉の渇き、頻尿・多尿、全身の倦怠感、体重減少などの症状が現れます。放置すると血管障害が進行し、糖尿病網膜症(失明の可能性もある)、糖尿病腎症(人工透析の可能性もある)、糖尿病神経障害(足切断の可能性もある)などの合併症が発生します。また、太い血管(動脈)も硬化し、脳血管障害(脳梗塞など)や虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)などの重篤な合併症を引き起こす可能性が高まります。

検査については、血液検査で血糖値とHbA1cの数値を調べ、診断を行います。具体的な診断基準は以下の表の通りです。糖尿病型と診断された場合は再検査を行い、結果が同様であれば糖尿病と診断されます。

①早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上、または75gOGTTの2時間値が200mg/dL以上、もしくは随時血糖値が200mg/dL以上
②HbA1c値が6.5%以上

※①と②の両方が基準の数値を超えていると判定されると糖尿病と診断。①もしくは②の一方のみが数値を超えていれば「糖尿病型」と判定され、再検査となります。

治療について

糖尿病の治療は、糖尿病のタイプによって異なります。以下にそれぞれの治療方法を詳しく説明します。

1型糖尿病:1型糖尿病患者さんは、体内で不足しているインスリンを補うためのインスリン注射が中心です。
2型糖尿病:2型糖尿病患者さんは、インスリンが少しは分泌されている状態なので、まずは生活習慣の改善から始めます。

食事療法

食べ過ぎによってインスリンを必要以上に分泌させないよう、適正なエネルギー摂取量に努めます。
1日3食の食事を規則正しくとり、栄養バランスの良い食事を心掛けます。食品交換表を活用することもおすすめです。

運動療法

インスリンの効果を高めるため、日常生活に運動を取り入れます。
中強度の有酸素運動(ジョギング、自転車、水泳など)を1日30分以上行うことで効果が期待できます。

薬物療法

血糖コントロールが難しい場合は、薬物療法を検討します。
種類としては、以下の薬があります。

インスリン注射

薬物療法でも効果が乏しい場合は、インスリン注射を検討します。

糖尿病の治療は、個々の症状や体質に合わせて選択されるべきです。医師の指導のもと、適切な治療方法を選択してください。