- 12月 9, 2024
- 12月 10, 2024
時事漢報 トリプルデミック
時事漢報 と題しまして、季節と話題ネタについて少し書いてみようと思います。
2024年12月、この冬のリスクとして「トリプルデミック」が懸念されています。
トリプル すなわち、「新型コロナ」、「インフルエンザ」、「マイコプラズマ」の同時流行です。
簡単ですが、三つの感染症と予防について、東洋医学的視点も交えて解説してみようと思います。
インフルエンザは冬の流行が定番ではありますが、すでに拡大を始めており、今年はその立ち上がりは例年並みのようです。昨年のインフルエンザは9月ごろから流行が始まり異例のパターンでしたが、今年はそれ以前と同じく12月に入りすでに感染拡大が進んでいます。予防接種を予定されている方は、効果が出るのに2週間と言われており、できるだけ早めの接種が良いと思います。ご希望の方、検討中の方はお早めにご相談ください。
また、今年はマイコプラズマ感染の患者数が例年の数十倍ともいわれ、検査キットも足りなくなってきています。ただ、検査キットの陽性率はやや低く、80%とか、医療機関での印象なども交えると60%と言われていることもありますので、マイコプラズマなのに陰性と言われてしまうケースもあるようです。レントゲンや、咳の症状なども加味して感染の判断をしなくてはなりません。また、全国の患者数が一度は減少傾向に入ったかに見えましたが、季節が影響してか11月のデータでは上昇してさらに増加しています。
新型コロナ感染は現在のところ11月から12月に入って陽性反応のが出る方がかなり少なくなっています。しかし、最近のデータを見ると半年ごとに感染のピークがみられており、12月に入りすでに上昇の兆しが見えております。インフルエンザとともに、これから増える可能性が示唆されています。
この冬、12月~2月ごろまでは、3つの感染症が入り乱れるトリプルデミックと言われている所以です。
この3つの感染症の症状の特徴は、かなり区別が難しく、人によって症状の出方に違いがあり、鼻水だけという方から、高熱でぐったりという方まで、千差万別の状態です。しいて言えば、インフルエンザの方は高熱が出る傾向が「やや多い」印象です。マイコプラズマについては、咳症状が長引く傾向があり3~5日して増悪してゆく場合は疑わしく、歩く肺炎と言われるだけあって、念のためのレントゲン撮影で肺炎になっている方もしばしば見かけます。
また余談ではありますが、伝染性紅斑: リンゴ病と呼ばれる感染症も例年にない拡大傾向と言われており、患者さんの数が上昇中です。こちらも注意が必要です。3つと合わせて、クワトロデミックなどとならないとよいのですが・・・。
クアトロで検索したらピザがたくさん出てきました・・。
ではこれらのトリプルデミックから身を守るためにはどのような対策があるでしょうか?
マスク、手洗いは言わずもがな、ですが、自宅の加湿はひとつのおすすめです。絞ったタオルの部屋干しや加湿器が、ウイルスの拡散や、のどの乾燥を抑え、症状の悪化や発症をある程度は抑えてくれます。また、自宅に湿度計自体がない方も多いと思いますので、デジタルの湿度計などを用意することも、空気の乾燥の程度を把握する上でとても役に立ちます。ありがちアドバイスですが、規則正しい食生活や、睡眠時間をしっかりとって、できるだけ体力を温存するのも非常に大切です。
また東洋医学的には、薬膳、養生の面から食材として長ネギ、玉ねぎ、生姜などがおすすめです。野菜高騰の昨今ですが、お料理などされる際には、少し多めに使用するとよいと思います。
また、アレルギーがなければ牛乳やヨーグルトなども良いといわれており、果物ではリンゴ、バナナ、ゆず(ゆず湯)などがおすすめです。肺を潤すといわれています。
漢方的には、感染の前と後で違ってきますが、自分も使用している予防の漢方として、「衛益顆粒(玉屏風散)」や、生薬の一つである板藍根(バンランコン)などをよく使用しております。(板藍根は飴になっている製品があるため、良く舐めています) ただ、少し強めの生薬なので、体力や食欲が落ちている方は、別の方剤で「補中益気湯」、「十全大補湯」などをお勧めしています。
また軽い寒気や、少し喉が痛い場合には「麻黄附子細辛湯」を適宜服用、のどの乾燥があり咳っぽいときには「麦門冬湯」などを使用しています。(特に寝る前と朝起きた時)
感染がおこってしまった際には症状に合わせて、また西洋薬に合わせて、漢方もご提案させていただいております。併用すると副作用を抑えたり、より効果を発揮することもありますので、よろしければご検討ください。
過去記事 → 風邪の漢方 プロローグ
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