- 10月 24, 2024
循環器疾患について
漢方関係の記事が続いたので、当院の専門である循環器科について少しご紹介したいと思います。
一般的には、「循環器」という言葉自体あまり馴染みがないかもしれません。簡単に言うと心臓と血管にまつわる疾患の総称を、循環器疾患と呼んでいます。
循環器の病気
循環器科の代表的な疾患は、高血圧、不整脈、動悸、心不全、心臓弁膜症、狭心症、心筋梗塞、不整脈、動脈硬化、血栓症などがあります。それぞれ各疾患についても、また紹介、解説して行きたいと思っていますが、今回は記事は総論として、全体的なお話にしたいと思います。
まず、心臓と血管についてです。ご存じとは思いますが、心臓がポンプで、血管が体をめぐる配管になります。中を血液が流れており、酸素や栄養を体中の臓器、組織に送っています。心臓に近い部分は太い血管になりますが、抹消(手足の先)に行くほど細くなり肉眼では見えないような細い血管が体中に張り巡らされています。その総距離は地球を2周半する長さ(10万キロメートル)とも言われています。
循環器疾患の多くは心臓にまつわるものですが、血管も心臓につながるシステムの一部であり、心臓の病気であっても、心臓をみるだけでなく、より大きな視点で全体的な体を見ることが大切です。
例えば、高血圧はよくある疾患ですが、これは血液を送り出す圧力が高いために、心臓の筋肉は肥大し、その圧負荷のために血液の流れる血管の壁が硬くなり、将来的に動脈硬化を起こします。心臓血管以外の疾患も、例えば糖尿病やたばこの喫煙も動脈硬化の原因となりますし、精神的なストレスでさえ動悸や高血圧の原因になります。
循環器の検査
循環器科の検査は、心電図、レントゲン、超音波検査などがあり、採血検査でもある程度の心臓の負担の度合いがわかります。
心電図では、心臓の不整脈(拍動のリズムの乱れ)や、心臓の筋肉の状態(狭心症、心筋梗塞など)を見ることができます。心臓を立体的に、いろいろな方向から電気信号をとらえ、どの場所に異常があるかを推測できます。また心臓内部の電気の流れが見れるため、電気の流れが途中で途切れていたり、逆に流れたりしている部分をとらえることができます。最近は自動判定がされるため、循環器以外の先生も簡便に検査ができるようになりました。ただ、その機械の判定の真意を読み解くには、ある程度の経験が必要になってきます。
レントゲンは、放射線を使い、心臓や肺の輪郭を、影絵のように投影します。昔に比べ、デジタル撮影ができるようになり(昔は1枚の写真として、撮影、現像していました。)、あっという間に画像が確認できるようになっています。心臓の輪郭を見て、その大きさや形を判定したり、肺の血管も映るので、血管の異常や、ある程度の大きさの腫瘤性病変(癌など)も見つけられる場合があります。ただ、原理的には影絵になるので、重なりや心臓の裏側などの場所によっては判定が困難なこともあります。
超音波検査(心エコー検査)は超音波で心臓の動きを見ることができます。そのほか、肝臓や腎臓などを確認できる腹部エコー検査もあります。心臓の中にある弁(一方通行の扉)や、心臓の筋肉の厚さ、動きを観察することができます。心臓の馬力(駆出率;Ejection Fraction EF)などを計測することや、心臓の壁に空いている孔を発見することもあります。また頸動脈エコーでは、頸動脈の壁の様子で動脈硬化の程度を推察することができます。
採血検査では、動悸の原因にもなる甲状腺ホルモンの値や、心臓の負担を示唆するBNP(NT-proBNP)などの検査が可能です。そのほかにもむくみの原因となるアルブミン、不整脈の原因にもなる電解質(ナトリウム、カリウムなど)、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロール、糖尿病などを調べることができます。
循環器科の大まかな解説になりますが、いかがでしたでしょうか。
上記の検査は当院でも可能ですが、一部の循環器疾患は緊急性を伴うこともあり、さらに踏み込んだ大掛かりな検査が必要な場合もございます。当院での簡便な検査での診断後、ただちに大きな病院に紹介、搬送させていただくこともございます。気になる症状がある際は、早目の受診、検査をお勧めいたします。
「こんな症状で受診して先生に怒られないか?」と気になさる患者さんもいらっしゃいますが、取り返しのつかないこともありますので、遠慮なさらずにご相談ください。