- 2月 28, 2026
膀胱炎の漢方
今回は膀胱炎について、少し解説してみたいと思います。
健診結果を受けると「尿潜血」という項目があります。簡単に言えば、尿に血が混じっています、という結果です。-(マイナス)、±(プラスマイナス)、+ ~ 3+などとその含まれる血液量により判定されます。

まず、前提として、通常、体内(腎臓)で作られる尿は「無菌」で血液も混じりません。健康な状態であれば、透明な薄い黄色が正常です。水分摂取が少なくなり、濃い黄色になってしまうことがありますが、基本的には濁りもなく、血液も混じっておりません。(食事によっては一時的にシュウ酸などが排出され濁る場合や、体外に排出されると菌が混じり、時間がたつと雑菌が繁殖して濁ることがあります)
まず、前提として、通常、体内(腎臓)で作られる尿は「無菌」で血液も混じりません。健康な状態であれば、透明な薄い黄色が正常です。水分摂取が少なくなり、濃い黄色になってしまうことがありますが、基本的には濁りもなく、血液も混じっておりません。(食事によっては一時的にシュウ酸などが排出され濁る場合や、体外に排出されると菌が混じり、時間がたつと雑菌が繁殖して濁ることがあります)
尿が、見た目に赤くなっていればすぐに血尿とわかりますが、茶色がかっている事もあり、一目ではわかりにくいケースもあります。また、たとえ肉眼的に赤く見えなくても、微量の出血があって、3+などの判定になってしまうこともあります。これは一見不思議ですが、尿の濃さ(色)と潜血(赤血球の量)は必ずしも比例しません。
では、なぜ血が混じってしまうのでしょうか?
原因の一つとして多いものに、今回解説する膀胱炎や、尿管結石などがあります。働きすぎや過労で血尿が出る、などの表現がありますが、多くは免疫力の低下、食事、水分摂取の減少などから細菌などの繁殖を抑えられず、腎炎、膀胱炎などを発症し、尿と接する粘膜などが炎症をおこして出血し、その結果、血尿が出ると考えられています。

しかし尿管結石や、他にも腎臓疾患、膀胱ポリープ、癌などが血尿の原因になるため、安易に膀胱炎と考えずに、特に血尿が続く場合は鑑別の検査が必要になります。一般的に「頻度が多い」という意味では、膀胱炎が圧倒的に多数(女性の場合、生理による出血が混じってしまうことがあります)ですが、健診などの結果で指摘された場合は、「おそらく膀胱炎だろう」と放置せず泌尿器科で検査をお受けください。血尿があり、加えて発熱、背中や腰の痛みがある場合は、早急に泌尿器科の受診をお勧めいたします。膀胱炎や尿管結石であったとしても、状態が悪化して、腎盂腎炎や尿路の閉塞などが起こることがあります。こうなると突然の高熱が出て、悪化すると意識障害などが起こることもあります。

では、膀胱炎であった場合、血尿のほかにどのような症状 (自覚症状) が出るのでしょうか?
よくある自覚症状としては、頻尿・残尿感・排尿時痛・下腹部痛、尿の濁りや血尿などが多くなります。一般的に膀胱や尿道の構造上、女性に多いといわれますが、男性でも発症することがあります。以前の「虚証」の記事にもあるように体質的に抵抗力が落ちている方はもちろん(→ 虚証の漢方)、疲れや睡眠不足、強いストレスなども原因になるため、予防としては体力を維持して、食事、睡眠をしっかり(適度に)とることをお勧め致します。
膀胱炎と診断された場合
膀胱炎と診断された場合、まず基本的な治療は抗生物質がメインとなります。漢方だけで治療を行うことはレアケースです。抗生剤でしっかり細菌の増殖を抑えて、死滅させ、炎症を治める治療となります。ただ、これだけの治療では、頻尿、残尿感などの症状改善には時間を要します。
そのため、症状の改善と、増悪を抑え、また再発予防も考えて、抗生物質に加えて漢方薬を処方することがあります。抗生剤がなかった時代から使用されている漢方薬なので、現代は抗生物質があるからそれだけでよいのでは?とも言えますが、増悪を押さえ、再発予防という意味ではまだまだ漢方が果たす役割も大きいように思います。以下のような処方があるので簡単にまとめてみました。
| 漢方名 | 症状 | 痛み | 体質 | どんな人向け? | ひとことで言うと |
|---|
| 猪苓湯 | 排尿時にしみる・頻尿 | ★★ | 普通 | 標準タイプ | 基本の膀胱炎の処方 |
| 猪苓湯合四物湯 | 血尿・再発しやすい | ★★ | やや虚弱 | 冷え・貧血気味の女性 | 補いながら治す |
| 五淋散 | 強い痛み・尿が濁る | ★★★ | 比較的元気 | 炎症が強い急性期 | 炎症が強いとき |
| 竜胆瀉肝湯 | 激しい痛み・陰部の不快感 | ★★★ | 体力あり | 若年層・湿熱強い人 | 強力に熱を取る |
| 清心蓮子飲 | 頻尿、倦怠感 | ★ | やや虚 | 神経質・慢性頻尿 | 体力の低下 |
それぞれに特徴があり、ものによっては体を冷やしたり、胃腸に負担がかかることもありますので、お話を聞きながら処方を決めてゆきます。ただ、多くの膀胱炎の方は、抵抗力の弱くなっている虚証体質の方だったり、体格が良くても疲労がたまっていたりなど、いろいろな方がいらっしゃいます。
体質と体調に合わせて、処方を行い、また必要であれば、症状の改善後に体力、免疫を高める治療を提案することもあります。処方としては当帰芍薬散、十全大補湯、八味地黄丸などの服用を検討することがあります。

膀胱炎は比較的ポピュラーな疾患ではありますが、油断すると腎盂腎炎などに悪化し、入院治療が必要となることもあります。免疫や体力が低下しがちな方(虚証の方)はもちろんですが、普段はお元気な方でも、忙しい時期、過労、睡眠不足、ストレスなどで急激に悪化することがあります。尿管結石などに合併する尿路感染の場合には、治療を始めていても、ほんの数時間で増悪してしまうことがあるので気をつけなくてはなりません。以上、膀胱炎と血尿について簡単ですがまとめてみました。何か気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。